Q&A
1.残業代請求
Q 残業代はいつまで遡って払わなければいけないですか?
A 残業代請求の時効は2年
最近は、労働者やその家族からの申告で労働基準監督署から調査を受けるケースが増えています。こういったケースで労働基準監督署から支払命令を受ける場合は、最長で2年遡ることになります。
賃金を請求する権利は2年(退職金を請求する権利は5年)で時効によって消滅すると労働基準法に書かれているからです。
しかし、現実に弊所にご相談、対応した事例では、3ヶ月、6ヶ月といったケースがほとんどで、2年遡及の経験はありません。
一方、2年が本当に最長かというとそうではありません。裁判などで労働者が残業代を請求した場合などで事項が中断された場合です。
また、損害賠償請求の場合、3年まで認められるケースがあります。
時効は5年に改正される見込み
民法が改正されたことを受け、賃金請求の消滅時効が2年から5年に延長される可能性が高くなっており、すでに検討が始まっています。早ければ2020年改正となるかも知れません。
そもそも、労働基準法は民法の特別法です。民法の「債権の消滅時効」が5年に統一されましたので、労働基準法もこれにあわせて動いています。
不安のある方は、今のうちに、後から残業代を請求されることのないよう、対策されることをおすすめします。
対象者は本人だけか?
残業代の支払い命令は、本人だけのケースと、労働者全員のケースがあります。
退職者が労働基準監督署に申告に行ったときは本人だけの支払い命令のケースが多いですが、在職中の場合はそこで働く労働者全員となるケースがほとんどです。なぜなら、在職中の場合は、誰からの申告なのか、会社にわからないようにしなければならないからです。