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解雇を実施する際の留意点

公開日:2023/07/11 - 最終更新日:2023/08/10

 雇用契約の終了には、定年や自己都合退職の他、解雇や雇止めがあります。この中でも、解雇を行う際には様々な注意点があり、トラブルとならないようにする必要があります。以下では、普通解雇・整理解雇を実施する際の留意点についてとり上げます。

[1]普通解雇
解雇とは、使用者(会社)からの申出による一方的な雇用契約の終了のことをいいます。使用者はいつでも自由に解雇を行えるというものではなく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、解雇をしても無効となります。
また、一定の場合については法律で解雇が禁止されています。主なものは以下のとおりです。

[労働基準法]

  • 業務上の傷病による休業期間とその後 30日間の解雇
  • 産前産後の休業期間とその後 30 日間の解雇
  • 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇

[男女雇用機会均等法]

  • 労働者の性別を理由とする解雇
  • 婚姻・妊娠・出産・産前産後の休業をしたこと等を理由とする解雇

[育児・介護休業法]

  • 労働者が育児・介護休業等の申出等をしたこと、育児・介護休業等を取得したことを理由とする解雇

 解雇をするときは、合理的な理由があったとしても、原則として少なくともその30 日前に解雇の予告をすることが求められます。予告を行わない場合には、30 日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。なお、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)において、契約期間の途中で労働者を解雇することは、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断されます。

[2]整理解雇
解雇の一種に整理解雇があります。これは、使用者が不況や経営不振などの理由により、解雇せざるを得ない場合に人員削減のために行う解雇を指します。以下の4つの要素に照らして整理解雇が有効か厳しく判断されます。

  1. 人員削減の必要性
    人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいているか
  2. 解雇回避の努力
    配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のための努力をしているか
  3. 人選の合理性
    整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であるか
  4. 解雇手続の妥当性
    労働者等に対して、解雇の必要性とその時期、規模、方法について納得を得るために説明を行っているか

雇用契約の終了の一つで解雇に似ているものとして「退職勧奨」がありますが、これは使用者が労働者に対して退職を勧めることをいいます。労働者が自由意思によりその勧奨に応じる場合は問題となりませんが、使用者が労働者の自由な意思による決定を妨げる勧奨は、違法な権利侵害に当たると判断される場合があります。トラブルを避けるためには、対象となる労働者としっかり向き合い、丁寧に説明することが求められます。

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■参考リンク
厚生労働省「労働契約の終了に関するルール

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