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年次有給休暇の8割要件を計算する際のポイント
公開日:2022/11/15 - 最終更新日:2022/11/18
年次有給休暇(以下、「年休」という)の付与については、全労働日の8割以上出勤していることという要件(以下、「8割要件」という)がありますが、会社の責に帰すべき事由によって休業した日や育児休業を取得した日等のイレギュラーがあった際、どのように計算すべきか判断に迷うことがあります。そこで、今回はその実務上のポイントをとり上げます。
[1]8割要件の計算
8割要件を満たしているかの計算は、出勤率をもって判断します。この出勤率は、出勤日数(算定期間の全労働日のうち出勤した日数)を全労働日(労働義務が課せられている日のことで、就業規則等で定めた休日を除いた日数)で除して計算します。出勤日数には、休日出勤した日は除く一方で、遅刻や早退があったとしても、その日は出勤しているため、含めます。
この出勤率を計算する際に、分母の全労働日から除外される日と、分子の出勤したものとして取り扱う日が定められています。全労働日から除外される日数には、以下のものがあります。
- 使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
- 正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により、会社独自の判断で従業員を休業させた場合は、上記1.使用者の責に帰すべき事由によって休業した日に該当し、休業させた日を全労働日から除外し、出勤率を計算します。
一方、出勤したものとして取り扱い、出勤率の計算の際に出勤日数および全労働日数に含めるものとしては、以下のものがあります。
- 業務上の負傷・疾病等により療養のため休業した日
- 労働基準法に規定する産前産後休業を取得した日
- 育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日
- 年次有給休暇を取得した日
例えば、算定期間においてすべて育児休業を取得していた場合、休業日数を全労働日に含み、出勤したものとして取り扱う日数にも休業日数を含むことから出勤率は10割となり、実際に勤務した日数がなかったとしても年休の付与を行います。
[2]特別休暇等の取扱い
会社独自の休暇である特別休暇や、育児・介護休業法による子の看護休暇・介護休暇を取得した日等については、法令での定めはないため、それぞれの会社で出勤率の計算の際にどのように取り扱うかを決めることになります。一般的には出勤したとみなして出勤率を計算する方法が多くみられます。
出勤率を計算した結果、8割要件を満たさなかった場合、その年については年休が付与されませんが、次の年に8割要件を満たした場合は、8割要件を満たさなかった年も勤続継続年数に含めて、付与日数が決まります。従業員にとって年休の付与や取得に対する関心は高いことから、誤りのないように管理しましょう。
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■参考リンク
厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf