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新型コロナウイルスに関するQ&A

公開日:2020/03/19 - 最終更新日:2020/06/15

新型コロナウイルスによる企業への影響はまだ当分つづきそうですね。

 

ここでは、「労働者を休ませるとき、法律上はどうなっているの?」「国からお金がもらえるみたいだけど、どうやったらもらえるの?」といったよく受けるご質問を解決していきます。

 

Q.労働者を休ませるとき、給与はどうしたらいいんですか?

A.会社都合による休業は休業手当(平均賃金の100分の6以上)を支払うことが義務づけられています。

「使用者の責に帰すべき休業」とは

労働基準法では、「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合に休業手当(平均賃金の100分の60以上)を払うことが義務づけられています。

「使用者の責に帰すべき休業」には、不可抗力によるものは含まれず、①その原因が外部より発生したものであること、②事業主が通常の経営者として最大の注意をつくしても避けることのできないものであること とされています。例えば、資材や設備が調達できなかったことによる休業は「使用者の責に帰すべき休業」とされています。

コロナウイルスによる休業も、それぞれの事情によって判断が異なります。例えば、感染したために就業制限がかかった人を休ませる場合は「使用者の責に帰すべき休業」ではなく、休業手当は必要ないと考えます。

一方、感染が疑われる人を会社が自主的な判断で休ませる場合は「使用者の責に帰すべき休業」となり、休業手当が必要です。

いずれも本人が希望すれば年次有給休暇を取得しても構いません。

また、病気で働けず、連続3日以上仕事を休まざるを得ない場合、4日目以降、傷病手当金を受けることができます。(給与が支払われないなどの要件があります)

 

 

Q.休業手当をどうやって計算したらいいですか?

A.休業手当は、平均賃金の100分の60で計算します。平均賃金は、次の方法で計算します。

計算式からもわかるとおり、月給額を暦日数で除するため、1日働いたときの賃金額より平均賃金の日額は低くなります。

  • 3か月間に支払われた賃金総額÷その期間の暦日数
【計算例1】

4月の賃金 250,000円

5月の賃金 300,000円

6月の賃金 280,000円

 

①     250,000+300,000+280,000=9,120.87円(少数点3位以下切り捨て)・・・これが平均賃金となる

30+31+30

 

 

時間給制や日給制、歩合給制の場合は、次の計算方法による最低保障がある。(①と②を比較し、高い方になります)

  • 3か月間に支払われた賃金総額÷その期間に働いた日数×60%
【計算例2】時間給制や日給制の場合

4月の賃金 50,000円(労働日数 10日)

5月の賃金 40,000円(労働日数 8日)

6月の賃金 60,000円(労働日数 12日)

①     50,000+40,000+60,000

30日+31日+30日

=1,648.35円(小数点3位以下切り捨て)

②     50,000+40,000+60,000

10日+8日+12日

=3,000円

・・・高い方を平均賃金とする。(この場合は3,000円)

 

計算は、直前の賃金締切日から計算します。また、入社3か月に満たない場合は入社後の期間で計算します。

「賃金総額」には、すべての賃金が含まれるものであり、通勤手当や年次有給休暇取得時の賃金も含まれます。

 

 

Q.会社都合の休業がある期間の平均賃金はどうやって計算すればいいですか?

A.会社都合の休業が長引けば、平均賃金を計算する際の「前3か月間の賃金総額」に休業期間が入ってきます。労働基準法では、この期間を除いて計算することとされています。

なお、平均賃金を計算する際には、「次の期間がある場合は日数および賃金から控除する」とされています。

  • 業務上負傷し、疾病にかかり療養のために休業した期間
  • 産前産後休業期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
  • 育児休業期間、介護休業期間
  • 試用期間

 

  1. 新型コロナウイルスの感染拡大にともない、仕事が激減しています。そのため当社では、当分の間、労働者を休ませようと考えています。休業手当を払った場合に国から助成金(雇用調整助成金)が支給されると聞きましたが、詳しく教えてください。

 

A.雇用調整助成金とは(概要)

新型コロナウイルスの影響を受け、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に一時的に休業、教育訓練、出向を行った場合に、休業手当、賃金等の2/3が助成されます。この助成金は、以前からあるものですが、今回、一部要件が緩和され、使いやすくなっています。

 

1.対象となる事業主

売上高または生産量など最近1カ月間の指標が前年同期に比べ10%以上減少していること(生産量要件)(生産指標は、計画届があった月の前月と対前年同月比で確認します)

本来は、原則として休業開始の2週間前までに計画届の提出が必要ですが、このたびの特例として、令和2年5月31日まで計画届を休業開始後に提出することができます

休業等の初日は、令和2年1月24日から令和2年7月23日までです。

過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主は、本来の要件である、「前回対象期間満了日から1年を経過していること」という要件は除外されます。また、過去の受給日数は今回の支給限度日数には影響しません。

さらに、事業所設置後1年未満の事業主も対象になります。この場合、生産指標は令和元年12月と比べます。

 

2.対象労働者

雇用保険被保険者(解雇予告した方、退職願を提出した方等は対象外)

 

3.休業

助成金の対象になる「休業」は、次のすべてを満たす必要があります。

 

・判定基礎期間(賃金締切日の翌日から次の賃金締切日まで)における対象労働者の休業等の延日数が、対象労働者に係る対象労働延日数の1/20(大企業は1/15)以上であること。

→つまり、休ませる日数または人数が一定以上でなければ要件を満たさないことになります

 

・休業手当の支払いが、労働基準法に違反していないこと(平均賃金の6割以上)

 

・所定労働時間内において実施されること

→所定外労働、所定休日労働をしていた場合は、その分差し引かれます

 

・所定労働日の全1日にわたるもの、または対象労働者全員について一斉に1時間以上行われるもの

 

教育訓練、出向も対象になりますが、ここでは割愛しています。

 

 

4.受給額

支払った休業手当額×2/3(大企業は1/2)

(1人1日あたり上限8,330円)上限100日

 

【ポイント】

受給額の計算では、直近の労働保険料概算確定申告書に記載した、前年度の「1年間の賃金総額(賞与含む)÷雇用保険加入者数÷年間所定労働日数」をもとに日額を計算するため、実際に支払った休業手当額とは異なります。

また、誰を休ませても(休業手当が高い人も低い人も)受給日額は同じになります。

 

 

Q.新型コロナウイルスに関連して学校が休みになったために仕事を休まざるを得ないお子さんのいる人がいます。その人から「給料はもらえますか?」と聞かれましたが、どうすればいいのでしょうか?

A.本人が希望すれば、年次有給休暇を取得することはできますが、その他に有給での休暇(特別休暇)を与えることは、会社に義務付けられているわけではありません。

しかし、同業他社が有給の特別休暇扱いとするのであれば、自社の制度は見劣りするかも知れません。法律で義務付けられていないものでも、さまざまな視点から会社の制度を考える必要があります。

なお、有給の特別休暇を与えたら、国から全額支給される助成金が新たに出されています(小学校休業等対応助成金)。申請する労力はかかりますが、申請する価値はあるでしょう。

 

Q.新型コロナウイルスに関連して、休んだ日の賃金が全額支給されるという報道がありましたが、当社ももらえますか?

A.小学校休業等対応助成金の要件(概要)は、①新型コロナウイルスに関連して臨時休業等をした小学校に通うお子さん、または ②新型コロナウイルスに感染した(または風邪症状など感染したおそれのある)、小学校等に通うお子さん

の世話が必要となった労働者に有給の休暇(年次有給休暇とは別)を取得させた事業主に全額が支給されます。

本来、特別休暇は就業規則に記載すべきものですが、この助成金は、記載しなくてももらえます。(他の要件にあえば)

 

1.対象期間

令和2年2月27日~3月31日

 

2.対象となる小学校等

新型コロナウイルスに関する対応として、小学校等が臨時休業した場合や、自治体、放課後児童クラブ、保育所等から可能な範囲で利用を控えるよう依頼があった場合が対象になります。

保護者の自主的な判断で休ませた場合は対象になりません。(学校長が新型コロナウイルスに関連して特別に欠席を認める場合は対象になります。)

小学校等とは、小学校、義務教育学校(小学校過程)、各種学校(幼稚園または小学校の過程に類する過程)、特別支援学校です。(障害のあるお子さんについては、中学校、高等学校等も含みます)

放課後児童クラブ、放課後等デイサービス、幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業等も含みます

 

3.対象となる保護者

親権者、未成年後見人、その他(里親、祖父母等)であって、お子さんを現に監護する人が対象になります。

また、お子さんの世話を一時的に補助する親族も対象になります。

 

4.受給額

労働者に支払った賃金相当額×10/10

(1人1日あたり上限8,330円)

 

5.その他の要件

○春休み、土日・祝日に取得した休暇の扱い

「①臨時休業等をした小学校等に通うお子さん」の対象となる休暇は以下のとおりです。

・学校:学校の元々の休日以外の日 (※春休みや日曜日など元々休みの日は対象外)

・その他の施設(放課後児童クラブ等):本来施設が利用可能な日

 

「②新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通うお子さん」の対象となる休暇は以下のとおりです。

・学校の春休みなどにかかわらず、令和2年2月27日から同年3月31日までの間は対象

 

○半日単位の休暇、時間単位の休暇も対象になります。

なお、勤務時間短縮は所定労働時間自体の短縮措置であり、休暇とは異なるため対象外です。

 

○年次有給休暇や欠勤、勤務時間短縮を、事後的に特別休暇に振り替えた場合も対象になります。

 

○労働者に対して支払う賃金の額は、年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金の額を支払うことが必要です。

(助成金の支給上限である8,330円を超える場合であっても、全額を支払う必要があります。)

 

6.申請期間

令和2年3月18日~6月30日までです。

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