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労災保険遺族補償年金 受給資格の違いは男女差別か

公開日:2024/05/17

労災保険法が定める遺族補償年金について、遺族が妻である場合と夫である場合とで受給資格に違いがあることは男女差別であるとして、妻を労災で亡くした男性が先月東京地方裁判所に遺族補償年金の不支給処分の取り消しを求める訴えを提訴しました。

 

労災保険法上、遺族補償年金が受給できるのは

・被災労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹という順になっており、

・妻以外の遺族については、被災労働者の死亡当時に一定の高齢または年少であるか、あるいは一定の障害の状態にあることが必要となっています。

夫の場合は55歳以上でなければ対象になりません。

(55歳以上60歳未満は支給停止され、60歳以上にならないと支給されません。)

つまり配偶者が労災により死亡した場合、妻は生計維持関係が認められれば年齢に関係なく遺族補償年金を受給できますが、夫その他の親族は、受給にあたり年齢や障害の有無などの要件を満たさなければなりません。

 

訴えを提訴した男性は妻と共働きで、妻は令和元年、過労のためくも膜下出血を発症し、同年中に亡くなりました。

男性は妻の死亡当時49歳であったため、遺族補償年金を申請したものの、受給資格がないとして不支給となりました。

この訴えを巡っては、女性労働者が労災により亡くなった場合、男性より遺族補償が少ないのは女性に対する差別だとの意見もあります。

働き方が多様化している現代において制度との不合理が提起された事例であり、今後の動向に注目したいです。

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