外国人を雇用するときには - 社会保険労務士に相談をお考えなら | 大阪の社会保険労務士事務所【インプルーブ社会保険労務士法人】にご相談ください
     

新着情報

外国人を雇用するときには

公開日:2020/03/25 - 最終更新日:2020/06/15

外国人を雇用するときは、どんなことに気をつける必要がありますか?

日本にいる外国人は、原則として、入管法(出入国管理及び難民認定法)に定める在留資格をもっています。
在留資格は、大きく2つに分けられます。

①活動資格(活動によるもの)
就労活動ができるものとできないものがあります
②居住資格(身分や地位によるもの)
就労制限はありません
「永住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」,「定住者」

外国人を雇用するときは、在留カードを確認し、働くことができる資格を持っているか、在留期間は切れていないかを確認する必要があります。在日韓国・朝鮮人等の「特別永住者」は在留カードを確認する必要はありません。

<在留資格>

①活動資格
在留資格 特記事項
在留資格の範囲で就労可能なもの 「外交」,「公用」,「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「投資・経営」,「法律・会計業務」,「医療」,「研究」,「教育」,「技術」,「人文知識・国際業務」,「企業内転勤」,「興行」,「技能」「技能実習」 「技能実習」は指定書に記載された機関での在留資格に基づく就労活動のみ可能
就労不可なもの 「文化活動」,「短期滞在」,「留学」,「研修」,「家族滞在」 資格外活動許可があれば、その範囲内で働ける
法務大臣が個々に指定する範囲で就労可能なもの 「特定活動」 ワーキングホリデー,EPA、高度学術研究活動、高度専門・技術活動、高度経営・管理活動、高度人材の就労配偶者など。指定書を確認すること
②居住資格(就労制限なし)
就労に制限がないもの 「永住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」,「定住者」
資格外活動とは?

行うことができる活動は、それぞれの在留資格に応じて定められています。
許可された活動以外に、報酬を得る活動をするときは、あらかじめ資格外活動の許可を受ける必要があります。

「留学」「家族滞在」などは、資格外活動許可があれば働けるので、在留カード裏面の「資格外活動許可証」を確認してください。ただし、働くことができるのは週28時間まで(長期休暇期間は1日8時間まで週40時間まで)です。この28時間は1週間のどこから数えても28時間以内でなければならず、残業はできません。また、複数のアルバイト先がある場合は、合計が週28時間以内でなければなりません。

不法就労とは?

不法就労には、次のケースがあります。

  1. 許可を受けていないのに働く
    ・観光で入国した人など、働くことを認められた在留資格を持っていない人が働く
    ・留学生が資格外活動の許可を受けていない人が働く
  2. 在留資格で認められた範囲を超えて働く
    ・語学学校の先生として働くことを認められ、「国際業務」の在留資格を持っている人が、工場で単純労働者として働く
    ・留学生が許可された時間数を超えて働く
  3. 不法滞在者が働く
    ・在留期限が切れた人が働く
    ・退去強制が既に決まっている人が働く

不法就労は、本人だけでなく、雇用した会社も罰せられます。
罰則は、「3年以下の懲役・300万円以下の罰金」であり、厳しいものになっています。在留資格を確認していなかったなど「知らなかった」は通りません。

外国人を雇用したときは、どこに届出するのですか?

平成19年10月以降、外国人を雇用したらハローワークへ届け出ることが義務付けられました。
外国人を雇い入れたときや、外国人が離職したときは、雇用保険の手続きをするときに、ハローワークへ届出なければなりません。雇用保険に加入しないパートやアルバイトでも、届出が必要です。
届け出が必要な外国人は、「外交」「公用」の在留資格を持っている人と特別永住者(在日韓国・朝鮮人等)を除く人です。

雇用保険加入者
雇用保険被保険者資格取得届を事業所管轄のハローワークへ届け出(雇い入れは翌月10日まで、退職時は10日以内)
雇用保険加入者ではない人
外国人雇用状況届出書を外国人が勤務する事業所管轄のハローワークへ届け出(翌月末日まで)

外国人を雇うときの労働条件は?

Q 労働基準法の対象になりますか?

A 外国人も雇用する上で「労働者」であり、労働基準法の保護の対象になります。例えば、雇い入れ時には、労働条件を明示する必要があり、時間外労働には法律で定められた割増賃金を払う必要があります。
また、国籍を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはなりません。

Q 雇用保険に加入しますか?

A 日本人と同様、次の両方の要件に合致すれば加入します。ただし、「昼間学生」は雇用保険に加入しないことになっています。
・31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
・1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること

「留学」は「資格外活動」の許可を取れば、週28時間まで働くことができます。しかし、「昼間学生」は対象外とされているので、雇用保険には加入しません。

Q 労災保険に加入しますか?

A 労働者を1人でも使用する事業は、強制適用事業となり、そこで働く労働者は、働く時間、日数、期間にかかわらず、(アルバイト、パートタイマー、日雇労働者等であっても)すべて労災保険に加入します。
ただし、法人の取締役は、事業主との間に使用従属関係があり、賃金が支払われていることが認められる場合に限り、加入します。
外国人も、労災保険に加入し、不法就労であっても加入します。

健康保険、厚生年金に加入する必要はありますか?

Q 短い期間だけ厚生年金に加入しても、将来年金としてもらえないため、加入したくないと言われています。外国人の方は、健康保険だけ加入し、厚生年金に加入しないことはできますか?

A 健康保険、厚生年金は加入要件を満たせば加入することが決まっています。2つはセットになっているので、片方だけ加入することは、原則としてできません。ただし、社会保障協定がある国から来ている外国人の場合は、例外があります。

1. 健康保険・厚生年金保険の加入要件とは(原則)

次の(1)(2)両方の要件を満たす場合、加入します。

(1) 働いている会社に健康保険・厚生年金保険の制度があること(「適用事業所」といいます)

法律では、次のように定められています。(「強制適用事業所」といいます)

  1. 法人は、業種、人数にかかわらず、加入します
  2. 個人事業で常時使用する労働者5人以上は加入します
  3. 個人事業で次の業種は加入しない(5人以上でも5人未満でも)
    飲食業、サービス業、税理士事務所、宗教団体、農林畜水産業 など

※これらに該当しない会社でも、労働者の半数以上の同意があれば加入することができます(「任意適用事業所」といいます)

<適用事業所の要件>
法人(株式会社、有限会社など)、国・地方公共団体 個人経営
①一般の事業所(②を除く) 強制適用事業所 常時使用する労働者5人以上は
強制適用事業所
常時使用する労働者5人未満は
任意適用事業所
②飲食業、サービス業、税理士事務所、宗教団体、農林畜産水産業など 強制適用事業所 任意適用事業所
(2) 本人の要件が合致すること。 次の①②の両方を満たす人は、被保険者になります。

①労働時間

1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上

②労働日数

1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上

ただし、この要件に合致しない場合であっても、次の5要件を全て満たす人は、被保険者になります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上あること
  2. 雇用期間が1年以上見込まれること
  3. 賃金の月額が8.8万円以上であること
  4. 昼間学生でないこと
  5. 常時501人以上の会社(特定適用事業所)に勤めていること

また、500人以下の会社に勤めている会社でも、(1)加入要件を満たす人の2分の1以上と、 (2)事業主 の合意があれば、上記①~④の要件で被保険者になります。

<被保険者の要件>
・501人以上の会社
・国・地方公共団体(規模にかかわらず)
次の要件を全て満たす人
①週の所定労働時間が20時間以上あること
②雇用期間が1年以上見込まれること
③賃金の月額が8.8万円以上であること
④昼間学生でないこと
500人以下の会社 2分の1以上と事業主の合意があり、手続きしたとき 手続きしていないとき(原則どおり)
次の要件を全て満たす人
①週の所定労働時間が20時間以上あること
②雇用期間が1年以上見込まれること
③賃金の月額が8.8万円以上であること
⑤昼間学生でないこと
次の要件を全て満たす人
①労働時間
1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
②労働日数
1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上

なお、次の人は社会保険加入から除外されています。
①日雇い(1ヵ月を超えた場合を除く)
②2ヵ月以内の期間雇用者(所定の期間を超えた場合を除く)
③季節的な雇用で4ヵ月以内の期間雇用者
④臨時的な事業で6ヵ月以内の期間雇用者
⑤所在地が一定しない事業

2.社会保障協定とは

このように、要件に合致すれば国籍に関係なく、厚生年金に加入することになっています。しかし、海外で働く外国人が日本で働く場合、母国の社会保障制度と日本の年金制度に二重に加入することになります。
また、日本での加入期間が短く、年金を受給できない外国人にとっては、掛け捨てになってしまいます。

このような問題を解決するために、社会保障協定を結ぶことにより、次の特例が認められるようになっています。国によって協定内容は異なるので、詳細を確認する方がいいでしょう。
①原則として、日本の年金制度に加入するのみでよい
②日本に在留見込み期間が5年以内の場合は、母国に加入するのみでよい
③①②による他国での加入期間は、通算できる。ただし、脱退一時金を受給した期間は、加入期間にカウントされない。

※②の免除を受けるためには、母国の事業所との雇用関係が継続していて、母国の社会保障制度に加入しているという要件を満たす必要があります。
実務としては、証明書を添付した上で、健康保険だけ加入する手続きをします。

社会保障協定の国

ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド ルクセンブルク フィリピン イタリア スロバキア 中国

イギリス、韓国、イタリア及び中国については、「保険料の二重負担防止」のみで、「加入期間通算の特例」はありません。
また、イタリア スロバキア 中国は協定ずみですが、まだ発効していません。

3.脱退一時金とは

社会保障協定を結んでいない国から来た人など、加入したが何も受給できない人は、脱退一時金を請求する方法があります。ただし、脱退一時金を受け取った場合、計算の基礎となった期間は年金加入期間にカウントされないので注意が必要です。
また、日本の老齢年金の受給資格期間が10年に短縮されたため、加入期間が10年以上ある人は、脱退一時金を受け取ることができません。

脱退一時金は、次の要件を満たす外国人(日本国籍がない人)が受け取ることができます。
①国民年金納付済み期間または厚生年金、共済年金の加入期間が6ヵ月以上あること
②老齢基礎年金、老齢厚生年金の受給資格要件を満たしていないこと
③障害年金を受け取ったことがないこと
④日本国内に住所がないこと
⑤最後の資格喪失日から2年以内に請求すること

日本で働いて母国に帰る外国人には、これらの制度をアドバイスしてあげる方がいいでしょう。

なお,平成20年3月に策定された、「在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン」(法務省)には、「保険証を提示できないことで在留資格の変更又は在留期間の更新を不許可とすることはありません。」と注意書きがあるものの、「社会保険への加入の促進を図るため,平成22(2010)年4月1日から申請時に窓口において保険証の提示を求めています。」と書かれています。

新たな外国人雇用の制度を教えてください

平成31年4月から、新たな外国人材受け入れに関する在留資格「特定技能」が創設されます。
これまで、在留資格の中で働けるものは、「専門的・技術的分野」として一定以上の知識、経験、技能が必要とされていました。
人材不足を解消するためにできた、新たな在留資格「特定技能」は「一定の専門性・技能を有し即戦力となる相当程度の知識または経験を要する業務」とされています。むずかしく書かれていますが、実態は単純労働のようです。

<受け入れ対象者>

特定技能1号 特定技能2号
技能水準 相当程度の知識または経験を必要とする技能
分野所管行政機関が定める試験等で確認
技能実習2号を修了した人は、この試験を免除される
熟練した技能
分野所管行政機関が定める試験等で確認
日本語能力水準 ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本とする。
(受け入れ分野ごとの試験等で確認)
在留期間 通算で5年を上限 更新の上限はない
家族の帯同 基本的に不可 可能
受け入れ対象分野は?

人材が不足しているとされている、次の14業種(「特定産業分野」といいます)に限定されています。

  1. 介護業
  2. ビルクリーニング業
  3. 素形材産業
  4. 産業機械製造業
  5. 電気・電子情報関連産業
  6. 建設業
  7. 造船・舶用工業
  8. 自動車整備業
  9. 航空業
  10. 宿泊業
  11. 農業
  12. 漁業
  13. 飲食料品製造業
  14. 外食業
Q 新たな在留資格「特定技能」で外国人労働者を受け入れたいと考えています。受け入れ準備はどのようにすすめればいいのでしょうか?

A 受け入れ会社は、出入国管理関係法令、労働関係法令、社会保険関係法令などを遵守することはもとより、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援をすることが義務付けられています。

また、「1号特定技能外国人支援計画を作成するほか、この支援計画が基準に適合していることなどが求められています。
具体的な内容は、次のとおりです。

  1. 外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供(外国人が理解することができる言語により行う。④、⑥及び⑦において同じ。)
  2. 入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り
  3. 保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施
  4. 外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施(預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約に係る支援を含む。)
  5. 生活のための日本語習得の支援
  6. 外国人からの相談・苦情への対応
  7. 外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援
  8. 外国人と日本人との交流の促進に係る支援
  9. 外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を行うことができるようにするための支援

ページトップへ

顧問先様専用ページ